introduction

肩をすくめるように持ち上げる筋肉。「肩甲」骨を「挙」上する「筋」肉なので、肩甲挙筋です。肩こりや頭痛があるときにはこの筋肉がガチガチになっていることがあります。巻き肩や肩に力が入っていつの間にか持ち上げてしまっている人はこの筋肉に無駄に頑張っていて肩こりのような不快な症状が現れます。頭痛の原因のひとつとなることも多いです。

筋肉の情報

◆起始と停止(筋肉が縮むときに動きが小さい側を起始、動きが大きい方が停止

起始:頸椎C1〜C4の横突起(後結節)
停止:肩甲骨上角・内側縁上部

◆作用(その筋肉が縮むことでどのように体が動くか)

作用:肩甲骨の挙上・下方回旋

◆支配神経(どの神経が筋肉を動かすか)

支配神経:肩甲背神経(C2-C5)

色々な角度から見てみる

背中側から見た肩甲挙筋
横から見た肩甲挙筋 →が前
前から見た肩甲挙筋
ねじれてます
首から肩まで繋がっている様子

特徴

◆肩こりや頭痛と関連が深い筋肉。

◆途中で捻れるようにくっついていて筋肉同士の滑走性が低下すると痛みやコリを感じます。

◆いくつかの筋肉の束で構成されています。その束がまとまって肩甲挙筋と呼ばれますがそれぞれは細くて長い筋肉です。

◆細いわりに仕事量が多く疲れやすいです。

◆人間は二足歩行に適応するために四つ足の動物と比べると肩甲骨が背骨に近いところにあります。そのため筋肉が途中で捻れて、その部分で滑走性の低下が生まれやすくなっています。

◆巻き肩が強い人・PC作業やスマートフォン操作などで腕を前で使う機会が多い人は、それに対抗するためにずっと力を入れているような状態が続いてしまいます。

施術に関する話

肩甲骨側の付着部をぎゅっと指圧されるとこめかみの方にズーンとした刺激が波及します。少し離れた場所に刺激が及ぶ「トリガーポイント療法」で有名なポイントです。

押されるととても気持ちがいいのでこのポイントへの指圧は人気があります。一時的に血流が増加するので軽くなったような感じは得られますが肩こりの改善を考えた場合には効果が薄いです。

肩甲挙筋は細い繊維の集まりです。そのため指圧等の外圧で損傷しやすく効果が薄いどころか逆効果になってしまう恐れがあります。できることなら肩上部のマッサージは控えた方が良いです。

気持ちがいいポイントであるが故に押さないと満足してくれないお客さまも多いので、逆効果のリスクを説明した上で指圧するか、あるいは別なポイントで満足度を上げていく必要があります。

実際に肩こりを軽減させていくためには、無理なく胸を開けるような姿勢に整えていくことを第一に考えます。また一言で肩こりといっても、首の付け根付近、肩甲骨の内縁、肩甲挙筋、僧帽筋など様々なポイントが存在するのでどの筋肉が問題を起こしているかも検査しなきゃダメです。

問題となる筋肉はどういう理由で硬く短くなっている、あるいは伸ばされてしまっているのかを考えて、最終的な犯人を見つける必要があるので、肩こりなどがずっと続いてつらいような場合には一旦マッサージを控えてもらって、姿勢から見直して、原因を探してもらえるような治療院を探してみてください。