introduction
首を回す・下を向く・頭の位置を安定させる・胸骨と鎖骨を持ち上げる。そんな働きのある筋肉です。最近は美容関連で関心が高まっているようです。”胸”骨と”鎖”骨から始まって耳の後ろにある”乳”様”突”起にくっつく”筋”肉なので、胸鎖乳突筋といいます。筋肉の勉強でややこしいのがこの起始と停止なのですがこの筋肉は起始と停止がそのまま名前になっていたのでとても覚えやすくて好きな筋肉でした。
頭を支える働きがあるので正しくない姿勢を続けると疲弊して痛みやコリ固まった感じが出てきます。また側頭部に停止することも関係して頭痛を起こしてしまう原因にもなりえます。
そして胸骨と鎖骨の挙上は肩を動かしやすくするためだけではなく「深い呼吸」にも関わります。リラックスができない。首が前に落ち込む。巻き肩。そんな症状には肩甲挙筋と合わせてこの胸鎖乳突筋も一緒に働ける状態に戻してあげる必要があります。
筋肉の情報
◆起始と停止(筋肉が縮むときに動きが小さい側を起始、動きが大きい方が停止)
起始:胸骨柄・鎖骨近位部
停止:側頭骨乳様突起
◆作用(その筋肉が縮むことでどのように体が動くか)
作用:両方同時に縮むと頸部屈曲
片側だけ縮むと側屈・対側回旋
体位固定時には頭部の安定
胸骨と鎖骨の挙上
◆支配神経(どの神経が筋肉を動かすか)
支配神経:副神経(C2-C3)/頚神経叢筋枝の二重支配
色々な角度から見てみる
特徴
◆姿勢・頭痛・呼吸と関連が深い筋肉です。
◆幅広だけど首を捻ると幅が縮む。横を向くと形がわかりやすくなります。
◆左右の手で側頭部を上に、鎖骨を下に引くとストレッチできます。
◆首が前に落ちてると疲れやすいです。
◆首が落ちると連動して肩が前に巻いてしまいます。また首が前に落ちて緩まった状態だと胸骨と鎖骨を引き上げられずに呼吸が浅くなります。
◆PC作業やスマートフォン操作などで首を前に傾けて使う機会が多い人はずっと力を入れているような状態が続いてしまいます。
施術に関する話
姿勢の悪さを引き起こす筋肉です。また現代においては酷使されやすい筋肉でもあります。写真を撮られるときに「もう少し頭を右で」みたいに指示されることが多い人は胸鎖乳突筋に左右差が生じていることを考えてみてもいいでしょう。
胸鎖乳突筋は肩こりや頭痛でお悩みの方、ストレスでうまく眠れない方・呼吸が浅くなっている方には必須のポイントです。軽くつまんで引っ張り出してあげたり、停止部である乳様突起の方向に引っ張り上げることで緩まります。緩ませてからストレッチを入れて、抵抗運動をしてもらうことで動きもスムーズになって深い呼吸が取り戻せます。
あまりに固まりが強い場合には指圧をするのもひとつの方法です。ただ痛みを感じやすい筋肉なので強さには十分注意しましょう。
問題となる筋肉はどういう理由で硬く短くなっている、あるいは伸ばされてしまっているのかを考えて、最終的な犯人を見つける必要があります。肩こりなどがずっと続いてつらいような場合には一旦マッサージを控えてもらって、姿勢から見直して、原因を探してもらえるような治療院を探してみてください。