起始:腸骨翼・腸骨稜の外唇・臀筋腱膜
停止:大腿骨の大転子の尖端と外側面・前面
作用:股関節の外転・屈曲伸展・内旋外旋
支配神経:上殿神経 (L4-S1)


後ろから見た中臀筋


横から見た中臀筋(青)と小臀筋 →が前


お腹側から見た中臀筋(青)と小臀筋




解説

中臀筋と小臀筋はほぼ同じ働きをしています。

メインとなる働きは股関節の外転(足を横に開く動き)です。ただ人間は二足歩行しているので立っているとき(足が固定されているとき)は上半身がグラつかないようにバランスをとる働きが大きくなっています。

立ち仕事の後や運動後などはお尻のやや上の外側あたりに疲労感が強く出る方が多いと思います。テニスボールなどに乗っかってゴリゴリやると気持ちが良い部分。それが中臀筋や小臀筋です。

外転という動作をしやすいようにそれぞれ別なところにくっついていますが、中臀筋と小臀筋の違いはくっついている位置。小臀筋は太ももの骨の外前方にくっついているので縮ませると少し内旋の動作も加わります。中臀筋は太ももの骨の一番横に出っ張った部分にくっついていて自由度が高いので、外転以外に、外旋も内旋も、膝を胸に近づける屈曲や足を伸ばす伸展という動作でも活躍しています。

日常生活では転んで倒れないように骨盤を左右でバランスを保つように制御している筋肉なので、疲労が溜まりすぎたり同じ姿勢を長く続けたりするとバランスが保てなくなります。

そのときは腰や背中、太ももの内側や外側が代わりに働かされることになります。

例えるなら、自分の仕事で手がいっぱい。定時に上がることは難しいし、残業だっていっぱいしなければ終わらないかもしれない。そんなときに上司から「この仕事、明日の朝の会議に間に合うようにやっておいて」と無茶な仕事をふってくる。

誰でも嫌になって疲れ果ててしまうと思います。腰や背中の筋肉も一緒です。

そんな感じで中臀筋や小臀筋が疲れ果ててると腰や背中にダメージが及ぶこととなります。

長く腰や背中の痛みが取れない方の中には、この臀筋たちの疲労から始まっている人もいるんじゃないでしょうか。

腰だけを見てくれる先生よりも色んな筋肉の繋がりを理解している先生に診てもらえると良くなりやすいと思います。